ICL手術と老眼の嘘ホント
~ICLのよくある質問を屈折矯正手術のエキスパートがお答えします~
近年、日本でも人気が高まっているICL手術(眼内コンタクトレンズ手術)。しかし、特に40代以降の方々にとって気になるのが「老眼との関係」です。インターネット上には様々な情報が飛び交っていますが、正確な情報とそうでない情報が混在しています。この記事では、ICL手術と老眼に関する「嘘」と「ホント」を整理して解説します。
- ICL手術を受けると老眼にならないってホント?
- 近視だと老眼の自覚が遅れることがあるってホント?
- ICL手術は老眼に対応してないってホント?
- 老眼と白内障が進行している場合は別の選択肢があるってホント?
- 40代以降はICL手術を受けられないってホント?
- ICL手術にはリスクがあるってホント?
- ICL手術で視力が悪くなることはないってホント?
- ICL手術は保険適用外ってホント?
- 結論
ICL手術を受けると老眼にならないってホント?

嘘です
真実: ICL手術を受けても、老眼は発症します
老眼は加齢によって水晶体が硬くなり、目のピント調節機能が衰えることで起こる現象です。通常、40歳前後から始まる老化現象であり、ICL手術で近視や乱視を矯正しても、この水晶体の老化プロセスを止めることはできません。
ICL手術は角膜と水晶体の間にレンズを挿入して屈折異常(近視・遠視・乱視)を矯正する手術です。この手術は水晶体を残したまま行われるため、水晶体自体の老化には影響を与えません。
近視だと老眼の自覚が遅れることがあるってホント?
ホントです
近視の方は、近くを見やすい目の状態に慣れているため、老眼の症状を自覚する時期が通常より遅れる傾向があります。
ICL手術で近視を矯正すると、それまで自覚していなかった老眼の症状が表面化することがあります。
これが「ICL手術を受けたら老眼になった」という誤解を生む原因になっています。実際には、ICL手術によって老眼が進行したわけではなく、元々ある老眼の症状が顕在化しただけなのです。
ICL手術は老眼に対応していないってホント?

嘘です
真実: 従来のICLは老眼に対応していませんでしたが、現在は老眼対応のICLも登場しています。
従来のICL(特にアメリカのSTAAR Surgical社製のもの)は老眼への対応はできませんでした。しかし、最近では「多焦点IPCL」(EyeOL社製)という老眼にも対応した眼内コンタクトレンズが登場しています。
この多焦点IPCLは、遠方と近方の両方に光を分配する特殊な構造を持っているため、遠くも近くも見ることができるよう設計されています。ただし、光を分配するという性質上、従来のICLに比べて見え方の鮮明度が若干劣るというデメリットもあります。
老眼と白内障が進行している場合は別の選択肢があるってホント?
ホントです
老眼と白内障の両方が認められる場合(多くは50代以降)、ICLではなく「多焦点眼内レンズを用いた白内障手術」という選択肢が適していることがあります。
白内障手術では濁った水晶体を摘出し人工レンズを挿入するため、老眼の原因となる水晶体そのものを取り除くことになります。多焦点眼内レンズを使用すれば、遠くと近くの両方を見ることができ、老眼の問題も同時に解決できる可能性があります。
40代以降はICL手術を受けられないってホント?

嘘です
真実: 40代以降でもICL手術は受けられますが、老眼への配慮が必要です。
ICL手術自体には厳密な年齢制限はありませんが、40代以降の方が受ける場合は、老眼についても考慮した治療計画を立てる必要があります。
具体的には、
- 通常のICLを選択し、近くを見る際は老眼鏡を使用する
- 老眼対応の多焦点IPCLを選択する
- 白内障が始まっている場合は、多焦点眼内レンズによる白内障手術を検討する
各選択肢にはメリット・デメリットがあるため、自分のライフスタイルに合わせて眼科医と相談することが重要です。
ICL手術にはリスクがあるってホント?
ホントです
どんな手術にもリスクはつきものですが、ICL手術も例外ではありません。
主なリスクには以下のようなものがあります。
- 一時的な眼圧上昇
- ハロー・グレア(光の周りに輪が見える、まぶしく感じる)
- レンズサイズの不適合や位置ずれ
- 水晶体と接触することによる白内障発症リスク
- 感染症(非常にまれ)
しかし、ICLは認定医制度が導入されており、適切な資格を持つ医師が手術を行うことで、これらのリスクを最小限に抑えることが可能です。
ICL手術で視力が悪くなることはないってホント?

嘘です
真実: 大部分の患者さんは良好な結果を得られますが、ごくまれに視力低下などの合併症が起こる可能性があります。
ICL手術は一般的に安全で効果的な手術ですが、どんな医療行為にもリスクはあります。過矯正(矯正しすぎて遠視になる)やレンズの位置ずれなどが起こると、視力に影響が出ることがあります。
ただし、ICLの大きなメリットとして「可逆性」があります。問題が発生した場合はレンズを摘出したり交換したりすることで対応が可能です。
ICL手術は保険適用外ってホント?
ホントです
ICL手術は自由診療(保険適用外)のため、全額自己負担となります。
老眼対応の多焦点IPCLは、通常のICLよりもさらに高額になる傾向があります。
医療費控除の対象にはなりますが、高額療養費制度や限度額適用認定証は使用できません。費用面も含めて十分に検討した上で手術を受けるかどうか決めることが大切です。
結論:ICL手術と老眼の関係を正しく理解しよう
ICL手術は近視や乱視の方にとって、メガネやコンタクトレンズに頼らない生活を実現できる有効な選択肢です。しかし、老眼は加齢による自然な現象であり、通常のICL手術でこれを防ぐことはできません。
40代以降の方がICL手術を検討する場合は、老眼への対策も含めて眼科医と十分に相談し、自分のライフスタイルに最適な治療法を選ぶことが重要です。最新の多焦点IPCLや多焦点眼内レンズによる白内障手術など、状況に応じた選択肢も増えています。
正確な情報を得て、後悔のない選択をしましょう。
●ICL手術についてはこちらのページをご覧ください。
●多焦点眼内レンズ手術についてはこちらのページをご覧ください。
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免責事項本記事は教育・情報提供を目的としており、個別の医療相談や診断・治療の代替となるものではありません。眼科治療を検討される場合は、必ず眼科専門医にご相談ください。医学情報は日々更新されるため、最新情報の確認も重要です。