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FineVision (PODF GF)と多焦点眼内レンズ逢着術

PODF

市販された世界初の三焦点IOLである。加入は+1.75D、+3.5Dと加入度数としては近年の三焦点よりも高加入である。三焦点のメリットと原理を開発した最初のレンズではあるが、その利点は今もなおあり、国際的に最も販売されている三焦点IOLの一つである。遠方を0次光、中間を1次、近方に1,2次光を利用することでロスされる光量を抑えるというものである。回折格子の高さをIOL周辺に向かうにつれて低くすることで、近方へのエネルギー量を減らすアポダイズ機構、回折格子エッジの散乱を軽減するためにラウンドエッジ回折を採用している。
模擬眼を用いた街灯のグレアを測定すると、図のようになる。他の会社の多焦点IOL(MF)と比べて、ハローが少ない。MFだと数個の回折リングによると思われるグレアのピークを認めこれを人はハローと認識するが、そのようなリングが少ないのがFineVision の特徴である(図1)。

図1 FineVision (FV)のグレア

国内初のダブルCループ構造の眼内レンズである。しかも、ハプティクスにアイレットホールを持った構造である。ダブルC ループはプレート型のようにIOLの傾斜が少なく、しかし、嚢収縮に対して、Cループによる力の吸収が可能なためプレート型よりもIOLポジション、ACDの安定化が期待できる。後述するが、アイレットホールを用いたIOL逢着が思考できるため、非常に良好なIOLの二次固定が可能となる。つまり、今まではアイレットホールをもちいた多焦点IOLの逢着は未承認IOLを輸入して行うしかなかったが、国内承認IOLで逢着が行えるようになったのは臨床的にとても大きいことである。

眼内レンズ逢着術(強膜)

古くから、チン小帯断裂、水晶体嚢欠損症例についてIOL二次固定の手法として第一選択されてきた。固定の位置は生理的に近く、前房深度も逢着位置によってある程度コントロール可能である。現状多くは強膜内固定と同様に角膜輪部から2mmの位置に逢着することが多い。筆者は強膜内のトンネルの角度や長さなどの調整が無いため、強膜内固定術よりも術後屈折予測性が高いと考えている。
通常逢着を行うには3ピース単焦点IOLを9-0PVDFで逢着するのが一般的かと思われる。逢着の場合の問題点としては、単焦点、ノントーリック、3ピースIOLしか安定的に逢着できないということがあった。それは、3ピースIOLでトーリック、多焦点IOLが国内に無いからである。しかし、近年前述のように、アイレット付きアクリルワンピースIOLが国内承認を受けた。これにより、多焦点IOLの逢着も行いやすく、私自身の6例ほどの経験では非常に良好な屈折誤差と視力を実現している(図3)。今後はトーリックモデルモデルため、乱視矯正も可能になってくる可能性が高い。

図2 アイレットホール付きダブルCループIOL

図3 アイレットホール付きIOLの逢着術
A~H 脱臼IOLを摘出し、ファインビジョンを逢着

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