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眼内レンズのグレア・ハローとは?👁️
原因・対策・最新技術を徹底解説

【眼科専門医監修】 白内障手術後に「光がまぶしい」「光の周りに輪が見える」といった症状でお悩みではありませんか?この記事では、眼内レンズ(IOL)によるグレアハローについて、一般の患者さんにもわかりやすく、そして眼科医の先生方にも参考になる最新情報(2025年まで)をお届けします。

📌 この記事でわかること

  • グレア・ハローとは何か、なぜ起こるのか
  • どんな眼内レンズで起こりやすいか
  • 最新技術でどこまで改善されているか
  • 症状が出たときの対処法
  • 眼科医向け:光学原理と数学的基礎

🏥 一般患者さん向けセクション

専門用語を減らし、わかりやすく解説します

🌟 1. グレア・ハローって何?

📖 基本的な理解

グレアハローは、白内障手術後に一部の方が経験する「光の見え方の変化」です。

  • 🔆 グレア(Glare):光がまぶしく感じる、光が広がって見える現象
  • 🔵 ハロー(Halo):光源の周りに輪っかや光の環が見える現象
患者さんからよく聞く訴えは以下のようなものです。
  • 🚗 「夜の運転で対向車のライトがまぶしい」
  • 🌙 「街灯の周りに虹色の輪が見える」
  • 📱 「スマホの画面がにじんで見える」
  • ⭐ 「光が星のように放射状に広がる(スターバースト)」

⚠️ 重要なポイント

✅ 安心してください
  • グレア・ハローは合併症ではなく、予測される現象です
  • 多くの方は3〜6ヶ月で慣れてきます(神経適応)
  • 最新の眼内レンズでは大幅に軽減されています
  • 90%以上の方が「気にならない」または「軽度」と回答しています[4][5]

🔬 2. なぜグレア・ハローが起こるの?

💡 簡単に言うと…

眼内レンズは人工的な「小さな窓」のようなものです。この窓を光が通るとき、以下のことが起こります。

☀️ 光が目に入る

🔍 眼内レンズを通過

💫 一部の光が散らばる・曲がる

👁️ 網膜に余分な光が届く

🧠 脳が「まぶしい」「輪が見える」と認識

📊 原因の種類

表1: 原因の種類
原因 わかりやすい説明 見え方
🔄 回折(かいせつ) レンズの端や溝で光が曲がる 光の輪(ハロー)
🪞 内部反射 レンズ内で光が跳ね返る 二重像、まぶしさ
💨 散乱 レンズ内の微細な不均一で光が散らばる 全体的なかすみ
🌈 色収差 色によって曲がり方が違う 虹色のにじみ

📋 3. どんなレンズで起こりやすい?

🔍 レンズタイプ別の比較

表2: レンズタイプ別の比較
レンズの種類 ハロー発生率 特徴
単焦点レンズ ⭐ 低い(〜5%) 一つの距離にピント
EDOF(焦点深度拡張型) ⭐⭐ やや低い(5-15%) 遠〜中距離を連続的にカバー
多焦点(2焦点) ⭐⭐⭐ 中程度(15-30%) 遠・近にピント
多焦点(3焦点) ⭐⭐⭐⭐ やや高い(20-35%) 遠・中・近にピント
💡 ポイント

多焦点レンズは光を複数の焦点に「分割」するため、ハローが出やすくなります。しかし、眼鏡なしで遠くも近くも見えるという大きなメリットがあります。

🆕 4. 最新技術でここまで改善!(2020-2025年)

🎉 朗報です!最新の眼内レンズでは、グレア・ハローが劇的に軽減されています。

✨ 注目の最新レンズ

表3: 注目の最新レンズ
レンズ名 特徴 光視症プロファイル
TECNIS PureSee(2024年) 完全屈折型EDOF、光を分割しない 単焦点並み(91.7%が軽微)
Clareon Vivity X-WAVE技術、光損失0% 単焦点並み(1-2%が非常に煩わしい)
RayOne Galaxy(2024年) 世界初AI設計スパイラル光学 拡張単焦点並み
TECNIS Odyssey(2024年) 紫色光フィルター搭載 (実臨床ではグレア認知はしっかりある)93%が症状なし/軽微
enVista Envy(2024年) 照明に応じて光配分を自動調整 93%が煩わしさ少ない/なし

🔧 技術の進歩

  • 🚫 非回折型デザイン:光を「分割」せず「伸長」させることでハローを軽減
  • 🤖 AI設計:コンピュータが最適な形状を計算
  • 🌈 色収差補正:虹色のにじみを抑制
  • 💜 紫色光フィルター:ハローの原因になりやすい短波長をカット

⏰ 5. 時間経過と適応

📅 症状の変化
表4: 症状の変化
時期 症状の程度 ポイント
術後1週間 🔴 最も強い 傷の治癒過程、心配しすぎない
1〜4週間 🟡 徐々に改善 目の状態が安定してくる
1〜3ヶ月 🟢 かなり改善 神経適応が進む
3〜6ヶ月 ✅ 安定 多くの方が「気にならない」
🧠 神経適応とは?

脳が新しい見え方に慣れ、グレア・ハローを「無視」するようになることです。ちょうど時計の秒針の音が気にならなくなるのと同じ仕組みです。

🏥 6. 症状がつらいときは

✅ まずは様子を見る(3ヶ月まで)

  • 焦らず経過観察
  • 夜間の運転は控えめに
  • 明るい場所では瞳孔が小さくなり症状が軽減

💊 医師に相談すべき場合

  • 3ヶ月経っても日常生活に支障がある
  • 仕事に影響が出ている
  • 症状が悪化している

🔧 治療オプション

  1. 縮瞳薬:瞳孔を小さくして症状軽減
  2. 夜間運転用眼鏡:特殊なコーティングでグレア軽減
  3. YAGレーザー:後嚢の濁りがある場合
  4. レンズ交換:最終手段

❓ よくある質問(FAQ)

グレア・ハローは完全になくなりますか?
完全になくなる方もいれば、軽度に残る方もいます。ただし、90%以上の方が「気にならない」または「生活に支障がない」レベルまで改善します。最新のレンズでは発生率自体が大幅に低下しています。
夜の運転はできますか?
多くの方は問題なく運転できます。術後しばらくは対向車のライトがまぶしく感じることがありますが、3〜6ヶ月で慣れる方がほとんどです。心配な場合は、夜間運転用の眼鏡をご検討ください。
グレア・ハローが出にくいレンズはありますか?
はい、あります。単焦点レンズが最も出にくく、次いでEDOF(焦点深度拡張型)です。2024-2025年の最新EDOFレンズ(PureSee、Vivityなど)は、単焦点並みの光視症プロファイルを実現しています。
多焦点レンズは避けるべきですか?
一概には言えません。多焦点レンズは眼鏡なしで遠くも近くも見えるという大きなメリットがあります。グレア・ハローのリスクと眼鏡非依存のメリットを比較し、ライフスタイルや仕事に合わせて選択することが大切です。当院では十分なカウンセリングを行っています。
術前にグレア・ハローを体験できますか?
ほぼ不可能です。しかし、野口らの研究によりこれをある程度視覚的に認知可能となっています。相談されてください。

執筆者(野口三太朗医師)への診察予約・お問い合わせは、記事の最後にご案内しています。

👨‍⚕️眼科医向けセクション

光学原理・数学的基礎・最新エビデンスを詳述

📚 7. 光視症の物理的機序と光学原理

眼内レンズに起因するグレアとハローは、以下の物理的機序により発生する[1][6]。

7.1 主要な発生機序

🔄 回折現象(Diffraction)

IOLエッジでの鋭い光の遮断により、光が回折して網膜上にアーク状の散乱光を形成する。特に多焦点IOLの回折格子構造では、設計的に光が複数の焦点に分割されるため、焦点外の光が環状のハローとして知覚される[7][8]。

回折格子方程式:

mλ = d(sin α + sin β)

ここで、m = 回折次数(整数)λ = 光の波長d = 溝間隔α = 入射角β = 回折角

回折効率(Diffraction Efficiency, DE):

DE_m = P_m / P_inc

最適な段差高さ(step height)hを設定することで、二焦点IOLでは以下の光分配が達成される[7][12]。

  • 0次(遠方焦点): 40.5%
  • +1次(近方焦点): 40.5%
  • 高次および損失: 19%
🪞内部反射(Internal Reflection)

IOL内部での光の多重反射により副次的な像が形成される。IOLの屈折率(n≈1.43-1.55)と周囲の房水(n≈1.336)との界面で部分反射が生じ、これが繰り返されることで光視症が増強される[1]。

💨前方散乱(Forward Scatter)

IOL材料の不均一性(グリスニング、表面粗さ)により光が散乱する。Rayleigh散乱の原理により、散乱強度は波長の4乗に反比例する[9][10]。

s ∝ 1/λ⁴

🌀高次収差(Higher-Order Aberrations)

球面収差、コマ収差などの高次収差により、点光源が拡大したスポットとして結像し、グレア感を増大させる[11]。

7.2 回折型vs屈折型IOLの光学的特性比較

表5: 回折型vs屈折型IOLの光学的特性比較
特性 回折型多焦点IOL 屈折型多焦点IOL
光分配機序 回折による位相変調 屈折力ゾーン分割
波長依存性 あり(色収差補正効果あり) なし
瞳孔径依存性 アポダイゼーションで制御可能 高い
ハロー特性 均一拡散、目立ちにくい 環状集中、顕著
現在の主流 主流(大部分) ほぼ置換済み

📐 8. 点広がり関数(PSF)と変調伝達関数(MTF)

8.1 点広がり関数(Point Spread Function, PSF)

PSFは光学系が点光源をどのように結像するかを示す関数であり、IOLの光学的質を評価する基本指標である[14][15]。

回折限界の円形開口でのPSF(エアリーパターン)

PSF(r) = I₀ · [2J₁(kr)/(kr)]²

ここで、J₁ = 第1種第1次ベッセル関数k = 2πNA/λr = 中心からの放射距離NA = 開口数(Numerical Aperture)

エアリーディスクの特性値:
  • 第1暗環の半径: r₁ = 1.22λ/NA = 0.61λ/NA
  • 半値全幅(FWHM): FWHM = 0.51λ/NA
📊 数値例:
  • 波長 λ = 550 nm
  • 瞳孔径 = 4 mm
  • 眼軸長 = 24 mm
  • 実効NA ≈ 4/24 = 0.167
計算結果:
  • 第1暗環: r₁ = 1.22 × 550 × 10⁻⁶ / 0.167 = 4.0 μm
  • FWHM = 2.4 μm

8.2 変調伝達関数(Modulation Transfer Function, MTF)

MTFはPSFのフーリエ変換の絶対値であり、空間周波数ごとのコントラスト伝達能力を示す[16][17]。

定義

MTF(f) = |ℱ{PSF}| = |OTF(f)|

回折限界の円形瞳孔でのMTF

MTF(f) = (2/π)[arccos(f/f_c) – (f/f_c)√(1-(f/f_c)²)]

ISO 11979-2 IOL規格要件
  • 3.0 mm開口、546 nm(緑色光)において
  • 100 lines/mm で MTF ≥ 0.43
Strehl比

Strehl比 = I_actual / I_diffraction-limited

小さな収差(RMS波面誤差 σ)の場合

Strehl比 ≈ exp[-(2πσ/λ)²] ≈ 1 – (2πσ/λ)²

Strehl比 > 0.5 で回折限界に近い良好な光学性能とみなされる[16][17]。

📊 9. 散乱光測定と収差の数学的記述

9.1 散乱光パラメータの測定

C-Quant装置による測定[9][18]:

s(θ) = PSF(θ)/Ω

ここで、

  • θ = 実効散乱角(典型的に7°)
  • Ω = 立体角
  • 単位: deg²/sr(度の2乗/ステラジアン)
定量的基準値[9][18]:
表6: 散乱光の定量的基準値
状態 log(s)値
正常70歳 ~1.2
IOL術後 0.82-0.87
臨床的に有意な散乱 >1.5

9.2 球面収差(Spherical Aberration, SA)

波面誤差(4次/1次球面収差):

W_SA = C₄₀ · ρ⁴

デフォーカス補正を含む平衡球面収差:

W_SA_balanced = √5 · z₄⁰ · (6ρ⁴ – 6ρ² + 1)

📊 球面収差補正の効果(数値例)
  • 角膜球面収差: +0.27 μm(6mm瞳孔、550nm)
  • 非球面IOLのSA: -0.27 μm
  • 全眼球SA = +0.27 + (-0.27) = 0 μm(完全補正)
Strehl比の改善
  • SA補正前: SR ≈ exp[-(2π×0.27/0.55)²] = 0.44
  • 補正後: SR ≈ 1.0

→ 中心ピーク強度が2.3倍に増加し、コントラストが著しく向上[11][19]。

9.3 色収差(Chromatic Aberration, CA)

縦色収差(LCA)の計算

LCA = f · Δλ/(V · λ_d)

ここで、V = Abbe数 = (n_d – 1)/(n_F – n_C)

表7: IOL材料別のLCA
IOL材料 Abbe数 LCA(+22D IOL)
疎水性アクリル(AcrySof) 37 0.88 D
親水性アクリル 55-58 0.59-0.62 D
シリコーン 30-35 0.97-1.13 D
回折型IOLの色収差補正

回折型IOLは負の色収差を誘導する。

P_add(λ) = P₀ · (λ₀/λ)

波長が短い(青色)ほど加入度数が大きくなり、角膜の正の色収差を部分的に打ち消し、「虹色ハロー」の軽減が可能となる[13][21]。

9.4 高次収差とZernike多項式

一般形:

Z_n^m(ρ,θ) = N_n^m · R_n^m(ρ) · Θ^m(θ)

表8:Zernike多項式の臨床的意義
Zernike項 記号 名称 臨床的意義
Z₄⁰ ρ⁴ – ρ² 球面収差 グレア、コントラスト低下
Z₃¹ (3ρ³ – 2ρ)cosθ コマ 彗星状歪み
Z₃³ ρ³cos3θ 3次非点収差 方向依存のぼけ
RMS波面誤差:

σ_RMS = √(Σ z_i²)

📏 10. 瞳孔径の影響

10.1 瞳孔径依存性の機序

ハロー角度サイズの概算[1][23]:

θ_halo ≈ arctan[(D_IOL – D_pupil)/(2·f)]

表9: 瞳孔径によるハロー面積の変化
瞳孔径 ハロー面積(3焦点IOL) 臨床的意義
3 mm 1.00(基準) 明所視、軽度
4 mm 1.85 薄明視、中等度
5 mm 2.70 暗所視、顕著
6 mm 3.50 夜間、最大

10.2 陽性vs陰性光視症

陽性光視症[1][23]
  • 大きな瞳孔(>4mm、薄明視・暗所視条件)でIOLエッジがより露出
  • 内部反射が増加
  • 発生ピーク: 瞳孔径5-6mm
陰性光視症
  • 小さな瞳孔(<3mm)で発生しやすい
  • 周辺網膜の照明ギャップが原因
  • 瞳孔-IOL距離 > 0.5mm が必要[1][26]

📊 11. IOLタイプ別の定量的発生率データ

IOLタイプ別光視症発生率[3][27][28][29]

IOLタイプ ハロー発生率 グレア発生率 「煩わしい」率
単焦点 5-10% 5-8% 1-2%
EDOF(従来型) 12-20% 10-15% 3-5%
EDOF(最新型) 5-15% 5-10% 1-2%
2焦点 25-35% 20-30% 5-10%
3焦点(従来型) 30-45% 25-35% 8-15%
3焦点(最新型) 15-25% 10-20% 3-7%
⚠️ 臨床的留意点

多焦点IOLでは単焦点と比較して3.5倍のハロー発生率があるが[3]、2020年代の最新設計では単焦点並みの光視症プロファイルを実現している[4][5]。

2020-2025年の主要IOLモデル比較[4][5][34][35][36]

IOL名 メーカー 光学原理 光視症プロファイル
TECNIS PureSee J&J Vision 完全屈折型EDOF 91.7%軽微ハロー、95%軽微スターバースト
Clareon Vivity Alcon X-WAVE(非回折) 1-2%が非常に煩わしい、交換例0%
RayOne Galaxy Rayner AI設計スパイラル 拡張単焦点並み
TECNIS Odyssey J&J Vision フリーフォーム回折+紫色光フィルター 93%症状なし/軽微
enVista Envy Bausch+Lomb ActivSync Optic 93%煩わしさ少ない/なし
AT LARA 829MP Zeiss Smooth Microphase 86%光視症なし/極めて少ない

🆕 12. 最新技術による光視症軽減戦略(2020-2025)

12.1 非回折型EDOFデザイン

Alcon X-WAVE技術(Vivity)[5][43]

原理:光を分割せず、波面を「伸長・シフト」させることで連続的な焦点深度拡張を実現。
構造:前面に2つの遷移要素

  1. 高さ約1μmのプラトー → 波面伸長
  2. 曲率変化 → 波面シフト

利点:

  • 光損失0%
  • 単焦点並みの光視症プロファイル
  • 瞳孔径非依存
  • 薄暗い環境での視力: 83%+ 良好 vs 単焦点51%
TECNIS PureSee(2024)[4]
  • 完全屈折型EDOF設計
  • 後面に連続的なパワー勾配
  • 回折要素なし = 光分割なし
  • 軽度屈折誤差でも単焦点並みの光視症維持

12.2 AIデザイン光学系

Rayner RayOne Galaxy(2024)[36]
  • 世界初のAI設計スパイラルIOL
  • 非回折型で光損失0%
  • スパイラル光学部が焦点を連続的に伸長
  • 全世界で6,000例以上埋植

12.3 インテリジェント光配分技術

TECNIS Odyssey InteliLight(2024)[34]
  • フリーフォーム回折設計
  • 紫色光フィルター(400-450nm)によりハロー軽減
  • 焦点間のギャップ排除で連続視
  • PanOptixの2倍の低照度コントラスト
  • ISO 11979-7:2024 Full Visual Range基準を満たす初のIOL
Bausch + Lomb ActivSync Optic(enVista Envy, 2024)[35]
  • 照明条件と瞳孔径に応じて光配分を調整
  • 明所視: 均等配分
  • 薄明視: 遠方優先
  • ClearPath技術で散乱軽減

12.4 色収差補正技術

Zeiss AT LARA 829MP[44]
  • Smooth Microphase(SMP)技術
  • 従来の回折型より浅い表面角度で散乱軽減
  • 進歩した色収差補正で色フリンジ軽減

12.5 エッジデザイン革新

負の光視症軽減のための凹型後面(Mayo Clinic/Simpson Optics, 2019)[45]:
  • 均一な周辺網膜照明を提供
  • 陰性光視症を引き起こす暗領域を照明
  • 設計段階での光線追跡により最適化
波状角型エッジ[46]:
  • 内部反射強度を5分の1に軽減
  • 後嚢混濁(PCO)予防効果維持

📈 13. 患者への影響と臨床的意義

13.1 2024-2025年の大規模研究結果

RayPro国際データベース研究(2024)[39]
  • 119病院、26カ国、>2,000眼
  • 満足度との相関:
    • 昼間グレア: -0.52(3ヶ月) → -0.61(12ヶ月)
    • 夜間ハロー: -0.43(3ヶ月) → -0.54(12ヶ月)
💡 重要知見

光視症の不在が満足度の最強予測因子であり、眼鏡非依存性よりも重要。患者は持続的なグレア・ハローよりも時折の眼鏡使用を好む[39]。

13.2 時間経過と神経適応

表10: 時間経過による変化
時期 客観的変化 主観的変化 メカニズム
術後1週間 最大ハロー径 最も症状強い 術後炎症・浮腫
1-4週間 急速減少 改善開始 治癒プロセス
1-3ヶ月 漸減 安定化 初期神経適応
3-6ヶ月 プラトー 「気にならない」 真の神経適応
6-12ヶ月 安定 最終状態 完全適応
📚 2024年重要研究[40]

Bhogal-Bhamra らの研究により、従来の神経適応理論に挑戦する知見が示された。

  • 術後1ヶ月の改善は「治癒プロセス」によるもので、神経適応ではない
  • 客観的ハロー径は減少し続けるが、主観的訴えは1週間後に安定
  • 真の神経適応には3-6ヶ月以上必要

13.3 リスク因子

表11: 光視症のリスク因子
リスク因子 エビデンス強度 臨床적対応
大瞳孔(>6mm薄暗い環境) ⭐⭐⭐⭐ アポダイゼーションIOL検討
高い期待値 ⭐⭐⭐⭐ 十分なカウンセリング
完璧主義的性格 ⭐⭐⭐ EDOFまたは単焦点
既往の屈折矯正手術 ⭐⭐⭐ 収差測定、慎重なIOL選択
高コントラスト要求職業 ⭐⭐⭐ 単焦点推奨
ドライアイ ⭐⭐ 術前治療

🔢 14. 数値計算例の詳細

例1: 最適回折段差高さの計算

与えられた条件
  • 二焦点回折型IOL
  • 材料: 疎水性アクリル、n = 1.55
  • 波長: λ = 546 nm
計算

h = λ / (2(n-1))
h = 546 nm / (2 × 0.55)
h = 496 nm ≈ 0.5 μm

例2: IOLの色収差計算

与えられた条件
  • IOLパワー: +22 D
  • Abbe数: V = 37(AcrySof)
  • 波長範囲: 480 nm(青)〜 644 nm(赤)
計算

LCA = P × Δλ / (V × λ₀)

LCA = 22 × (644 – 480) / (37 × 550)

LCA = 22 × 164 / 20,350

LCA = 0.88 D

これは、青色光が赤色光より0.88 D手前に焦点を結ぶことを意味し、色収差によるハローの色フリンジの原因となる[13][20]。

例3: 球面収差補正後のStrehl比改善

補正前(正のSA = +0.27 μm)

Strehl比 = exp[-(2π × 0.27 / 0.55)²]
= exp[-(3.09)²]
= exp[-9.55] = 0.44

補正後(全眼球SA = 0 μm)

Strehl比 ≈ 1.0

補正により、中心ピーク強度が2.3倍(1/0.44)に増加し、コントラストとシャープネスが著しく向上する[11][19]。

📋 15. 臨床ガイドラインと推奨事項(2024-2025エビデンスベース)

15.1 術前評価

  1. QoV質問票によるベースライン評価
  2. Angle kappaの測定
  3. 薄暗い環境での瞳孔径評価
  4. 性格/期待値の評価
  5. 多焦点コンタクトレンズによるトライアル検討

15.2 術後管理

1-6週間: 観察期
  • 症状は予想されるものと安心させる
  • 通常の活動を奨励
  • 屈折誤差の対処
  • 眼表面の最適化
  • 重度の場合、縮瞳薬を検討
6週間-3ヶ月: モニタリング期
  • QoV質問票の反復
  • 機能的 vs 自覚的評価
  • 他原因の除外(後発白内障、屈折誤差、黄斑疾患)
3ヶ月以降: 介入検討期

重度かつ機能的制限がある場合、

  • タスク特異的眼鏡(夜間運転用)
  • YAGレーザー後嚢切開(後嚢変化がある場合)
  • 光学部キャプチャーの逆転(陰性光視症)
  • ピギーバックIOL
  • IOL交換(最終手段、理想的には≥6ヶ月後)

15.3 患者選択の枠組み

✅ 理想的な候補者
  • 眼鏡非依存への強い希望
  • 活動的なライフスタイル
  • 現実的な期待
  • 柔軟な性格
  • 健康な眼表面
  • 黄斑病変なし
  • 規則的な角膜形状
  • Angle kappa < 0.5mm
❌ 禁忌
  • 重大な緑内障(既にコントラスト感度低下)
  • 活動性黄斑疾患
  • 不正乱視
  • 大きな瞳孔(>6mm薄暗い環境)
  • 高コントラスト要求職業(写真家、パイロット)
  • 重度ドライアイ

15.4 カウンセリングの枠組み

中核メッセージ
  • 視覚現象は「予想される」ものであり、合併症ではない
  • 時間経過: 最初の1週間がピーク、3-6ヶ月で改善、一部は軽度の永続的ハロー
  • トレードオフ: 広い視覚範囲 vs 夜間の若干の視覚効果
  • 絶対表現を避ける – 適応を保証しない
代替戦略
  • 拡張単焦点 + ミニモノビジョン(-0.5〜-1.0D)
  • EDOF IOL(三焦点より低い光視症)
  • 標準単焦点 + 読書用眼鏡
  • トライアルコンタクトレンズシミュレーション

📚 参考文献
[1] Simpson MJ. Dysphotopsias After Cataract Surgery: Review of Incidence, Cause, and Prevention. Clin Ophthalmol. 2023. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9866410/
[2] Bhogal-Bhamra H, Wolffsohn JS, Saunders KJ. Glare and Adaptation: Mechanisms Beyond Neuroadaptation That Improve Vision Following Implantation of Presbyopic Correcting Intraocular Lenses. Front Ophthalmol. 2024. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11182291/
[3] de Silva SR, Evans JR, Kirthi V, et al. Multifocal versus monofocal intraocular lenses after cataract extraction. Cochrane Database Syst Rev. 2016. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25250421/
[4] Black DA, Bala C, et al. Quality of vision clinical outcomes for a new fully-refractive extended depth of focus Intraocular Lens. Eye. 2024. https://www.nature.com/articles/s41433-024-03039-8
[5] Alcon Science. Optical Principles of EDOF: X-WAVE Technology White Paper. https://us.alconscience.com/sites/g/files/rbvwei1736/files/pdf/Optical-Principles-of-EDOF-US-CAT-2000006.pdf
[6] EyeWiki. Dysphotopsia. American Academy of Ophthalmology. https://eyewiki.org/Dysphotopsia
[7] Alcon Science. Refractive and Diffractive Principles in Presbyopia-Correcting IOLs. https://us.alconscience.com/sites/g/files/rbvwei1736/files/pdf/Refractive-and-Diffractive-Principles-in-Presbyopia-Correcting-IOLs-An-Optical-Lesson-US-REF-1900001.pdf
[8] Edmund Optics. All About Diffraction Gratings. https://www.edmundoptics.com/knowledge-center/application-notes/optics/all-about-diffraction-gratings/
[9] Łabuz G, Yan W, Baur ID, et al. Simulating Dysphotopsia in Patients with Intraocular Lenses. Diagnostics. 2021. https://www.mdpi.com/2075-4418/11/8/1512
[10] van den Berg TJ, Franssen L, Kruijt B, Coppens JE. History of ocular straylight measurement: A review. Z Med Phys. 2013. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5480586/
[11] QuickGuide Ophthalmology. Spherical Aberration and Asphericity. https://www.quickguide.org/post/spherical-aberration-asphericity
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🏥 当院について

当院では、白内障手術(眼内レンズ手術)、硝子体手術、ICL・IPCLなどの手術を専門的に行っています。グレア・ハローが心配な方には、術前の十分なカウンセリングを行い、ライフスタイルや仕事内容に合わせた最適なレンズ選択をサポートしています。また、多焦点コンタクトレンズによるトライアルも実施しており、術前に見え方を体験していただくことが可能です。当院は完全予約制です。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

本記事は2025年までの英語文献エビデンスに基づいて作成されました

ASUCAアイクリニック 仙台マークワンは、白内障手術(眼内レンズ手術)、硝子体手術、ICL・IPCL、目の周りやまぶたなどを治療する手術専門クリニックです。
当院は、一人ひとりに精密な検査と時間を確保するため、完全予約制としております。
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アクセス
宮城県仙台市青葉区中央一丁目2-3 仙台マークワン11F
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*県外から当院で自費手術を受けられる方を対象とした「交通費負担軽減制度(手術代金より1万円の充当)」を設けております。詳細はスタッフにお問い合わせください。

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記事監修者について

野口 三太朗

  • ASUCAアイクリニック 仙台マークワン 主任執刀医
  • 社会医療法人 三栄会 ツカザキ病院 眼科 医長
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医

専門分野は白内障手術・網膜硝子体手術。
数万件に上る執刀経験を持ち、海外からの情報をいち早く取り入れ、治療に活かしている。世界初、日本発という臨床研究を多く手がけ、最新技術の導入に努める。
日本眼科手術学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本白内障学会ほかの各会員。医学博士。

免責事項本記事は教育・情報提供を目的としており、個別の医療相談や診断・治療の代替となるものではありません。眼科治療を検討される場合は、必ず眼科専門医にご相談ください。医学情報は日々更新されるため、最新情報の確認も重要です。