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円錐角膜および不正乱視眼の眼内レンズ度数計算式の重要点

  1. はじめに
  2. 3つの重要点
  3. 特別な考慮点
  4. まとめ

1.はじめに

円錐角膜および不正乱視眼では、通常の眼内レンズ計算式では不十分な場合が多いため、特別なアプローチが必要です。
円錐角膜は進行性の角膜菲薄化により不規則な角膜形状をもたらします。この不規則性によって、標準的な角膜曲率測定(ケラトメトリー)では正確な値が得られないことが問題です。
特に以下の点が重要です。

2.3つの重要点

角膜トポグラフィーの重要性

円錐角膜では単純なK値だけでなく、角膜全体の形状情報が重要
Pentacamやシャインプルーフなどの前眼部OCTによる角膜前後面の詳細計測が不可欠
角膜頂点から視軸までのオフセットも考慮する必要がある

光線追跡技術

Ray Tracing for KCなどの光線追跡法は、不規則な角膜形状の光学的影響を詳細にシミュレーション
標準的な理論式では扱えない高次収差も計算に含める

人工知能の活用

AI-KC Formulaのような深層学習アプローチは、多数の円錐角膜症例データから最適な計算方法を学習
円錐角膜の多様なパターンにも対応可能

3.特別な考慮点

円錐角膜患者への白内障手術では、以下のような特別な考慮点があります。

角膜の安定性

クロスリンキング治療後など、角膜形状が安定しているかの評価

視覚の質

残存する高次収差を考慮した最適なIOL選択

トーリックIOLの適応

軽度~中等度の円錐角膜でのトーリックIOLの可能性と計算法

ベクトル分析

Vector Planning for KCのように乱視軸のずれを考慮した計算

4.まとめ

最新の研究では、角膜トポグラフィーとOCTデータを統合し、さらに人工知能で解析することで、円錐角膜患者における眼内レンズ計算の精度が向上しています。特にToric IOL for KCのような最新のアプローチでは、角膜の不規則性の程度に応じた個別化された計算が可能になっています。
円錐角膜患者の白内障手術では、術前の詳細な検査と最適な計算式の選択が特に重要であり、症例ごとの慎重な対応が求められます。

●眼内レンズ度数計算について詳しくは、眼内レンズ度数計算についてのページをご覧ください。

ASUCAアイクリニック 仙台マークワンは、眼内レンズ手術、硝子体手術、目の周りのまぶたなどを治療する手術専門クリニックです。
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記事監修者について

野口 三太朗

  • ASUCAアイクリニック 仙台マークワン 主任執刀医
  • 社会医療法人 三栄会 ツカザキ病院 眼科 医長
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医

専門分野は白内障手術・網膜硝子体手術。
数万件に上る執刀経験を持ち、海外からの情報をいち早く取り入れ、治療に活かしている。世界初、日本発という臨床研究を多く手がけ、最新技術の導入に努める。
日本眼科手術学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本白内障学会ほかの各会員。医学博士。

免責事項本記事は教育・情報提供を目的としており、個別の医療相談や診断・治療の代替となるものではありません。眼科治療を検討される場合は、必ず眼科専門医にご相談ください。医学情報は日々更新されるため、最新情報の確認も重要です。