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眼内レンズの新しい摘出方法 レンズグラバー

眼内レンズの新しい摘出方法 レンズグラバー
眼内レンズの新しい摘出方法 レンズグラバー

眼科医学雑誌のあたらしい眼科に、レンズグラバー法について書かせてもらいました。眼内レンズ摘出方法の話です。スタッフ、眼科医に対しての知識のために色々書いておきます😌。

眼内レンズは摘出しなければならないシーンが結構あります。押さえておくポイントはまず、以下です。
●眼内レンズは直径6ミリ
●角膜の直径は11〜12ミリ
●眼内レンズの種類は柔らかいアクリル?硬いPMMA?
そこでこれを取り出すのにどうするのかという従来ある方法は、レンズを眼内で三分割などに切って小切開から摘出する(2ミリ)。切開を6ミリ程度に広げる。または、摘出の際に広がってしまう。ということになります。
当たり前ですが、小切開にこしたことはない。小切開のメリット、切開の拡大のデメリットは以下です。
●小切開だと惹起乱視が少ない
●虹彩の損傷などが起きにくい
●術中、眼内環境を正常に保ちやすい
●感染しにくい

ただ、眼内でレンズを切るという操作をするので、嚢を、損傷したり、内皮を損傷したり、レンズが硝子体側に落ちてしまったりなどの率が上がってしまいます。僕自身はこの手技に、ついて全く抵抗は無いし、かなりの数をやっているので難なくこなすし、なんとも思ってませんが、皆がそうではないでしょう。しかし、今の時代、眼内でレンズを切断して小切開から摘出することが可能な時代に、手術切開創を拡大して摘出することは、ナンセンスです。

現時点眼内でレンズを切断する以外は切開創の拡大はほぼ発生してしまうでしょう(拡大幅に大小はありますが)。
そこで、最近開発した手術方法として、「レンズグラバー法」を取り上げました。
●コロンブスの卵的な発想のものである。
●レンズグラバーという手術器械を用いると、眼内でのレンズの切断無しにて、ワンアクションでレンズを眼外に摘出出来る。
●かつ、現状の研究の結果として、切開創の拡大量は0.1~0.2mmと非常に小さい。
●手術手技時間も5~10秒とごく短時間で行うことが可能になった。
●学会などで何度も報告させていただき、非常に好評で多くの先生から問い合わせもいただいている。

ということで、そういった内容を雑誌に書かせていただきました。
眼科医療が進歩し、患者さん、眼科医が恩恵を受けられるのはとても良いことだと常々思います。

 

 

「野口三太朗のブログ」2022.06.05より再掲
https://ameblo.jp/noguchi-ophthalmologist/

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記事監修者について

野口 三太朗

  • ASUCAアイクリニック 仙台マークワン 主任執刀医
  • 社会医療法人 三栄会 ツカザキ病院 眼科 医長
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医

2006年、東北大学医学部卒業。その後、東北大学医学部眼科学教室、ツカザキ病院、石巻赤十字病院眼科などで経験を積む。2021年に大阪大学大学院博士課程修了。2022年、宮城県仙台市に位置する「ASUCAアイクリニック」の主任執刀医を務める。専門分野は白内障手術・網膜硝子体手術。
数万件に上る執刀経験を持ち、海外からの情報をいち早く取り入れ、治療に活かしている。世界初、日本発という臨床研究を多く手がけ、最新技術の導入に努める。
日本眼科手術学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本白内障学会ほかの各会員。医学博士。

免責事項本記事は教育・情報提供を目的としており、個別の医療相談や診断・治療の代替となるものではありません。眼科治療を検討される場合は、必ず眼科専門医にご相談ください。医学情報は日々更新されるため、最新情報の確認も重要です。