オデッセイ Odyssey(Johnson&Johnson)現時点の傾向
オデッセイ Odyssey(Johnson&Johnson)
Johnson&Johnsonから開発されたSynergyという連続焦点型眼内レンズの後続モデルとして開発された。
Synergyは中間距離、近方での視力が非常に良好で、現存する回折型多焦点IOLの中で、中間、近方に関してはトップクラスの数字上の視力が出やすい。Johnson&Johnsonらしい、数字上の視力にこだわった製品であった。しかし、同時に、遠方視力がたまに不良であることや、コントラストの悪化を自覚される症例の報告が上がっている。さらには、夜間のグレアが強めであることも報告されている。その中でも特にスターバーストが強めとされてきた。
このような問題点を解決するべく開発されたレンズがOdysseyである。
まず、変更点を一つずつ説明する。
❶回折格子の全体的なピッチと組み合わせ、デザインが変更となった。詳しくは述べないが、図のように肉眼的にみても異なることがわかる。
❷回折格子のエッジ部分が2/3 で鈍的になっている。これは、エッジグレアの発生を抑制しようとした結果ではないかと思われる。
❸回折格子の高さがSynergyよりも少し低くなっている(図1)。
変更とならなかった点として、
❶full diffraction designである。
❷テクニスオプティブルーがプラットフォームとなっている。
❸Toric モデルはシャープエッジハプティクスであるToric2であるということ。
❹いずれも色収差補正を目的としたデザインが組み込まれているということである。
Johnson&Johnsonの企業宣伝としては、夜間グレアの大幅な改善、屈折誤差の耐性がある、近方視力はSynergyと変わらないか若干悪い程度、Synergyの進化系レンズである。とのことであった。
図1 SynergyとOdysseyの回折格子
臨床成績
現時点症例眼数が少ないためはっきりとしたことは言えないが、以下のような傾向にあるようである。視力について、5mの遠方視力は非常に良好で従来のレンズよりも良い視力を提供する可能性がある。しかし、1mの視力の落ち込みと40~30cmでの視力が他の高加入他焦点眼内レンズよりも視力が弱いようである(図2)。視力の特性を活かし患者の要望にマッチさせるように選ぶ必要がある。
図2 Odyssey(DRV)とMF(多焦点レンズ)とDFR(Synergy)の全距離視力 DRNは症例数がまだ一定以下のためある程度参考値
グレアに関して、残念ながら、全くグレアが消失しているということは無いようである。現状当院での成績では、Synergyとくらべ、少し、光源中心部分とやや離れた距離でのスターバースト、グレアが改善している。しかし、グレア自体はしっかりとあり、それがないということを目的に移植することは厳禁である。
遠方コントラストは比較的よく、多焦点IOLではあるが、遠方確保、遠方重視には良い選択肢となり得る。
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