眼内レンズ 眼内レンズ

TriDiff トライディフ

基本情報

メーカー EyeOL UK社 (イギリス)
発売年 2018年
CEマーク取得 2017年
※CEマークとはすべてのEC加盟国の基準に適合している商品であることを示すマークです。
種類 多焦点眼内レンズ
トーリック なし

●詳しい情報を見る

※「実臨床、自験例」は臨床結果を元にした、当院主任執刀医:野口三太朗医師独自の情報です。医師紹介を見る

メーカー情報

TriDiff(トライディフ)はイギリスのEyeOL UK社から2018年に発売開始された3焦点眼内レンズです(2017年ヨーロッパCEマーク取得済み)。日本では2019年より使用実績があります。

TriDiffは「親水性アクリル」で作られたプレート型の眼内レンズです。プレミアムレースカット技術を用いて製造精度を厳密にして製造されているため、他社のレースカット眼内レンズに比べて面精度が美しいのが特徴です。光学部はRay Tracing(光線追跡法)技術を使って最適な同心円状パターンがある回折構造を有しています。遠方、中間、近方にそれぞれ50%、30%、20%の光が分布されるようになっていて、中間は70cm、近方は40cmに焦点があうように設計されています。

また、TriDiffは中央部から周辺部にステップ高が低くなる特殊構造により、回折型であるにもかかわらず光エネルギーロスが10%以下でハログレアの発生が最小限に抑えられています。

TriDiffは、患者様の乱視軸に合わせて製造する完全カスタムメイドのトーリックレンズ(乱視矯正タイプ)もあります。どの患者様もレンズを水平で固定するsmart toricシステムを採用していますが、元の乱視軸の位置もマーキングされており、合計で3点のマーキングを確認しながらレンズが固定できるため、より精度の高い手術が可能です。乱視量や屈折度数もカスタムメイドのため幅広く作成出来、他のレンズが対応できない目に対しても対応できることがあります。

実臨床、自験例

TriDiff IPCL(CAREGROUP)は、Pod Fと非常に似た構造を持つ、三焦点IOLで、加入もPodFと同じで、アポダイゼーション構造をもつ。PodFと異なるのは回折格子を若干傾ける構造を持つ、Slanted apodized diffractionであること、回折領域が4.5mm、12本の回折格子からなっていること、そしてsmart toric(プレートタイプ)である点である。

図TriDiffの前眼部写真
乱視軸表示が、0度180度、予定乱視軸の3つが表示される。

メリット

まず、乱視軸がすべて、水平固定で矯正することができる、smart toricシステムであることである。製造の段階で、乱視軸に合わせて乱視負荷させたパーソナルカスタマイズドIOLであるため、耳側切開であった場合はほぼレンズを回転せずに乱視矯正が完了する。Slanted apodizedであることより、グレア症状が若干改善する可能性がある。回折領域が限定されているため、夜間のコントラストなどの改善が期待できる。症例数はまだ多くは無いが、ハロー、グレア、夜間行動の不便さについてはPodFよりも良いようである。また、元の乱視軸の位置もマーキングされており、三点でIOL位置を決定できるため、精度の高い手術が可能となる。レンズボリュームも有り、親水性レンズで有りながらややレンズが硬いため、固定性が良好で、術後の屈折誤差や、残余乱視が少ない印象である。親水性レンズでレースカット製造ではあるが、他社のレースカットIOLに比べ非常に面精度が美しく、製造精度を厳密にしている(プレミアムレースカット)ことがうかがえる。プレミアムレースカットはSynergy(DFR, J&J)でも施行されている。レンズ価格が比較的安く、導入しやすいと思われる(図)。

デメリット

従来の三焦点レンズとほぼ構造的には変わりないため、4焦点、5焦点に比べると、近方視力が若干弱い。現時点でオリジナルのオンライントーリックカリキュレーターが設置されていないが、理論的にカリキュレーターは不要である。

メリット
  • 1~0.7m視力良好 0.8程度の視力
  • 0.5~0.3m 0.6以上の視力
  • スマートトーリックシステム乱視軸
  • 乱視、球面度数がカスタムで作れ、製造範囲が広い
  • レンズ面が非常に綺麗に仕上がっている
  • レンズ透明度が非常に高い
デメリット
  • グレア、ハローはある程度でる
  • 近方視力は若干弱め