Vivinex Gemetric/plus ビビネックス ジェメトリック/プラス
基本情報
メーカー | HOYA株式会社 (日本) |
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発売年 | 2024年 |
種類 | 多焦点眼内レンズ |
トーリック | あり |
メーカー情報
“Vivinex Gemetric ”“Vivinex Gemetric Plus ”は、HOYA株式会社から2024、2025年に発売された日本企業発の多焦点眼内レンズです。加入度数は中間+1.75 D(約80cm)、近方+3.50 D(約40cm)となる。
非球面3焦点眼内レンズで光学部の中心3.2 mm径内に回折ゾーンを持つため、不快光視現象の低減が期待されるデザイン。素材は従来から使用実績があるHOYAの眼内レンズVivinex multiSertと同じであるため、信頼性の高い疎水性アクリルとなっている。T2からの乱視用眼内レンズも併せて準備がある。光学部前面は非球面デザインになっており、光学部後面は球面またはトーリックになる。
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Toric乱視用
- (1)+1.75 D, +3.50 D 加入の非球面3焦点眼内レンズ
- 中間/近方と比較して遠方のエネルギー割合が高く、中心3.2mm径内に回折ゾーンがあり、それより外側に回折ゾーンはないことから、遠くの見え方を犠牲にせず、中間距離と近くの見え方を確保するための光配分になっており、不快光視現象の低減を期待するデザインになっています。
また光学部前面は非球面デザインになっており、光学部後面は球面またはトーリックになっています。
MTF(コントラスト感度)のグラフから遠方、中間、近方と3つの大きなピークが認められます。(※上部パンフレット 「MTFカーブ」表参照)
瞳孔径が大きくなると遠方のエネルギー割合が大きくなるデザインであり、中間距離と近くの見え方も確保するための光配分となっております。(※上部パンフレット 「瞳孔径とエネルギーの割合」表参照)Vivinex Gemetric / Vivinex Gemetric Toric
3焦点回折構造・中心部から3.2 mmの回折ゾーンを持ち、不快光視現象の低減を期待するデザインとなっています。 - (2)長期安定性に実績のある眼内レンズ素材(Vivinex素材)
- 素材は従来から使用実績があるHOYA社の眼内レンズVivinex multiSertと同じであるため、信頼性の高い疎水性アクリルで後発白内障やグリスニング(白内障手術術後合併症)などが少ないことが期待されています。
- (3)5つの乱視用眼内レンズを準備し、軽度乱視にも対応可能
- トーリックモデル(T2 ~ T6)をラインアップしています。多焦点眼内レンズでは0.5Dの残余乱視でも遠方視力が低下すると言われており、軽度乱視にも対応のT2は特に有用と考えられます。(※上部パンフレット 「Vivinex Gemetric Toric モデル別円柱度数」表参照)
- (4)安心・安全な手術のため実績あるmultiSertインジェクター
- すべての円柱度数、度数範囲で実績のあるプリロードインジェクター multiSert に搭載されており、安定した操作を支えるインジェクター機構となっています。
実臨床、自験例
筆者考え(2025年4月時点)
●技術的特徴
コンベンショナルな三焦点構造と思われる。しかし、詳細な回折デザインを確認出ていない為はっきりしたことはいえない。筆者が思うに、Finevisionとほぼ同じ構造と思われる。GemetoricとGemetoric Plusの二種類が用意されている。Plusは他の多焦点と同様の遠近のエネルギー配分となっているが、Gemetoricは近方エネルギーを低くし、遠方を強くして、多焦点レンズでありがちな、遠方Waxingを抑制している。同社は両レンズを両眼にそれぞれミックスした処方を勧めている。近方を期待するならGemetoric Plusの処方が必須であろう。
Finevisionと異なるのはアポダイズド構造を持たないこと、モールディング構造である、3.2mm以内にしか回折格子がないという点である。本家Finevisionよりもこの点は筆者自身は良いと考えている。近方重視患者が多い日本においては、両眼Plus移植のほうが良い場合も多いと思われる。
メリット・デメリット
●メリット
- 多焦点眼内レンズだが、特に遠方エネルギー確保を、最優先にしている
- Vivinexプラットフォームて、超極小切開から挿入が、可能
- 遠方視力不良のリスクを低減
- アポダイズド構造を採用していない
- トーリックがT2からある
- 3.2mm以内に回折格子が収められている
- 二種のレンズが準備されていること
- 世界最高峰のインジェクターと挿入の安定感
- レンズマテリアルの良さ
- モールディング製造である
●デメリット
- 近方視力は弱め
- ハローはある程度でる
- Finevisionよりも近方が弱い可能性
- 日本ではPlusが遅れて販売となってしまっている
- 他多焦点レンズと強い差別化があまりない